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理不尽なこの世界に呑まれたもの

この世界は理不尽だ。弱者は強者に利用され蔑まれ最後には捨てられる。生まれてきた時点で行く末が決まるだなんてなんて滑稽。金持ちがなんだ、権力がなんだと口では言ってみるものの、結局はそいつらでまわってるのもまた事実。
そんな理不尽で浅ましい世の中を形にしたこの学園は、全寮制の男子校で金持ちの金持ちによる権力者の為の腐った学園だ。
そんな学園の弱者な立場にいる俺は言わずもがな強者の格好の餌食になっている。暴行、強姦あたりまえのこの糞みたいな学園で糞みたいな扱い方を受けている俺にもちろん友達なんかいないし、作る気もない。結局は己の身が大事なんて充分理解しているし、実際俺だって正義感なんて最初の1年で失った身だ。変に気遣われるより無視される方がよっぽど楽。まあこんな平凡な俺はサンドバックにしかされたことないが。

「ねえ、きみ」

「あ?」

痛むからだを引きずってのろのろと歩いていた俺にかけたであろう声に振り向けば、見たことがある綺麗なやつがいた。ああ、確か同じクラスの。

「なに」

どうせこいつも、なんて過ぎった俺はぶっきらぼうにそう返すも、そいつは気にした様子も無くそっと手を差し出してきた。自然と追ってしまうその行動になんだよ、と返せばそいつは手に持っていたそれをそっと俺の手に握らせる。使って、と言って去って行った彼の後ろ姿を呆然と見届けながら不覚にも受け取ってしまったそれをギリッと握り締める。手の中からほのかに香る甘い石鹸の匂いになぜか無性に泣きたくなった。

結局使わなかった白い布をポケットにしまい保健室に向かう為、重い足を動かす。一歩床を踏みしめるたびに鈍痛が這うからだを啖呵して向かっている途中で後ろから何かに襲われたらしい。らしい、というのはそこから記憶が欠片も無いからだ。あるのはからだを這う嫌な感触と、耳に残っている雑音、あとは腰の鈍い痛みだけ。ああ俺犯されたんだ、なんて。自覚した途端震えが止まらなくなった。ガタガタとからだの震えが止まらない。いずれこうなる予感はしてたんだ。それが今になっただけ、そう頭で何度復誦しても恐怖に支配された心は落ち着かない。

流れでる涙を拭う事もせず、無意識にポケットのものをぎゅっと握り締める俺の目にキラリと写った無機質のそれ。そっと手に触れると酷く和らいだ。

握り直したそれを手首に当て、ヒヤリとした冷たい感触に躊躇いもなく手を引くとすっと流れ出る赤。赤。赤。
汚いものが浄化されていくような気がして、何度も何度も赤い線を描く。もはや痛みなんて無かった。

「やめなよ」

自分の手かどうかも分からなくなったそれをふいに掴まれ、俺はゆっくりと顔をあげる。涙か鼻水か精液か血かでぐちゃぐちゃになった俺の顔をみて彼は悲しそうに笑った。その笑顔を見てはらりとこばれ落ちたのは涙となんの感情か。彼に何を期待していたのか。ギリッっと噛み締めた唇からも赤い線がつーっと流れる。彼に握られていない部分に冷たい矛先を向けた時、急にがらっと視界が反転した。

「な、にすんだ、」

掠れた声でそう尋ねるも、彼は俺を見つめたまま何も答えない。綺麗な彼と汚い俺。見られたくなくて、赤く染まっていない腕で顔を覆う。

「見んな、よ…汚いから」

「なんで?綺麗だよ」

なにを根拠に。そう言い返そうと口を開こうとした時、赤い線をなぞられピリッとした感覚に思わず口を噛む。今更になってじくじくと疼き出した痛みを彼がなぞる度に、ビクリとからだが揺れるのが嫌で、やめろよ、と震える声で訴える。俺を横目で見た彼は優しく笑って、そっと俺の汚い手に口付けた。

「大丈夫。綺麗だよ、この腕も」

唖然とする俺を無視して綺麗に笑った彼は俺の横に手をついたまま、壊れものを扱うかのような手つきで俺の頬に触れる。あ…と声にならない声は彼の唇に飲み込まれていった。

「君自身も」

そう言ってくすりと笑った彼はやっぱり綺麗だな、なんて。
混乱した頭でも彼の言った事は充分理解できて、そして理解した瞬間壊れた蛇口のように涙が止まらなくなった。子供のように彼に縋って泣き出した俺を彼は邪険に扱わずそっと背中に手をまわしてくれる。そんな彼の優しさに更に涙が止まらなくなった。ああどうしよう、彼が好きだ、なんて。


「大丈夫、俺がずっとそばにいるよ」

そう言って背中を摩ってあげると、首に回した手に力を込めて縋ってくる。そんな彼をちらりと確認しながら気づかれない様に携帯を開いて送った。


【成功】


囚われ捕らえられたのはどちらのほうか。


ああ、なんて可愛いんだろう。馬鹿な君は踊らされたのにも気づかない。腕の中の温もりにからだを寄せながら嬉しさから零れでる笑みを隠せずニヒルに笑う。君は一生俺のものだよ、なんて。


@理不尽なこの世界に呑まれたもの

のらとやるオリジナル中二病設定の小説だったんだけど…あれ?なんだこれ的なのになった。R18の部分は省いてますがあれ?考えていたのを文章にすると難しいむむむ。
まあ結局は弱い部分につけ込まれるよな、って話し…なのか?(笑)弱者は弱者なりにあがいていこうよ。っていう前向きなのにもならなかった。敗者はおれだ。←

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2012.08.14(Tue) - 小説





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